ダイキネクスト誕生のストーリー②
投稿日: 投稿者:斎藤宏和
② 第1弾Makuakeプロジェクト「音階風鈴、天秤風鈴」のストーリー
自社製品の販売をスタートするにあたり、まずは自分たちでできることを考え、やってみることにしました。
オンラインショップの開設と、小牧市のふるさと納税の返礼品として取り扱っていただくことです。
人手も資金もない中で、あれこれ試行錯誤しながらオンラインショップを立ち上げました。
そして、市役所に相談しながら、ふるさと納税の返礼品にも選定していただくことができました。
できることはやってみました。しかし、それだけで自社製品が売れるようになるわけではありません。
すぐに、「広く知ってもらわなければ、モノは売れない」という現実を、目の当たりにすることになりました。
さて、ここから先、どうやって進んでいったらいいものか・・・
そう思っていた時に、あるプロジェクトに出会ったのです。
それは、私たちのような中小企業の製造業とデザイナーをマッチングして、新しい製品を作り、クラウドファンディングで販売する、という「Aichi Design Vision」というプロジェクトでした。
最初にお話をうかがったとき、正直に言うと「うちのような、何の変哲もない町工場に、売れるような新製品が作れるのだろうか」という疑問と不安しかありませんでした。
しかし、作ってはみたものの、そこから先の売り方がわからない・・・という課題があったこともあり、何か課題解決のヒントが得られるかもしれない、ということや、新製品に挑戦することで技術力の向上につながるかもしれない、という思いがふくらんでいき、思い切って挑戦することにしました。
デザイナーさんとのモノづくりは、打合せのやり方からして初めての経験で、戸惑うことばかりでした。
それでも、提案してもらったデザインに合致させるべく、双方でアイデアを出し合い、加工を工夫し、試作を繰り返していくうちに、だんだんと形になっていくモノとともに、チームとして一体感が生まれてきました。
こうして生まれてきたのが、第1弾Makuakeプロジェクト「音階風鈴・天秤風鈴」です。
このときに感じたのは、求められるデザインに合わせることの難しさでした。
私たちはこれまで、いかに効率よく加工ができるかを基準にデザインを考えていました。
しかし、求められるデザインは、加工のしやすさを考慮されたものではありません。
まずはデザインを再現することが大前提なので、そこをクリアすることを重視して開発にあたりました。
その結果、デザインに合致するモノを作ることはできました。
が、次に当たったのはコストダウンの壁でした。
コストダウンするために、加工の仕方を工夫し、できるだけかかる手間を削減できるように考えました。
それでも、丁寧に心を込めてものづくりをしたいという思いがあり、一つ一つ切削加工で作っている製品ですから、量産は難しく、コストダウンにも限界があります。
これからもコストダウンの努力は続けていきます。
このプロジェクトで、デザインに合致させる品質を生み出す加工の工夫と、コストダウンにつながる加工の工夫を考え、試行錯誤する経験ができたことは、私たちにとって大きな財産になったと思っています。
「音階風鈴」「天秤風鈴」は高価な製品ですが、デザイン性に関心を持っていただく方々も多く、私たちにとっても加工技術に自信が持てる製品となりました。
自分たちだけでできることは限られています。
思い切って一歩踏み出し、いろいろな人たちと協働することで、道は開ける、と実感できたチャレンジでした。